山里通信
木もれ日だより (2012年9月)

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【猛暑の夏、皆さんどう乗り切りましたか?】
 今年は本当に暑い夏でした。皆さんの住んでいるところはいかがでしたでしょうか?こちらはそれでもかえって覚悟が決まったのか、今はあまり行われない田の手押し除草を真っ黒に日焼けしながら2度ほど実施しました。一方、暑く雨の少ない夏は果樹には最適で、秋口に収穫の桃やぶどうも今年は糖度も高く味も良好。りんごも今のところは順調な生育です。
 今年、芳美の取り組み始めた庭の「不耕起・直播栽培」の野菜は上々のすべり出しで、しっかりした味の濃いとうもろこしができました。自然の力になるべくまかせる農法なのに、その潜在力に驚かされながら、次は地豆の「鞍掛豆」の収穫を待っています。


【芳美、綿打ちを始める!】
 先日、地域の講演会で、「日本は食糧の自給率は40%だが、繊維の自給率はなんと0%」と聞いてきてから、芳美は猛然と「木綿の生産」に取組んでいます。以前わずかばかり栽培して保管してあった綿の実を取り出してきて、庭の竹で自作した綿打ち弓でまず「綿打ち」。さらに、糸を撚るためのスピンドルを自作して、何日もかかって糸作り。少し太めの糸は、今は手編みのコースターに結実!しています。
 村の友人にこの話をすると、「糸車がうちの土蔵にもある!」と言われたそうです。芳美が「工業化、機械化の中でいろいろなことを手放してきたのもそんなに大昔の話じゃない。インドのガンジーは、イギリスからの独立運動の中で、人々が自立していくためにチャルカ(糸紡ぎ機)を推奨した。」と話すのを聞けば、どうも来年は庭の一部が綿の畑になりそうです。


【自然エネルギーの取組み】
 震災後関心の高まっている自然エネルギー。我が家の屋根に載せた太陽光パネルも今日でちょうど1年目。積雪が多く太陽光にはむかないといわれている北信地域ですが、試算してみると約2軒分ぐらいを発電していることになり、りっぱに10年以内で償却予定です。村の仲間たちもさまざまな取組みを行なっていて、屋根に塩ビパイプを配管して太陽熱温水装置を自作したり、自宅の池のわき水で自転車のハブダイナモを回して庭の常夜灯にしたりといろいろな工夫を重ねています。農村には「工夫する力」が、まだ豊かに残っています。
 長野県は標高差が大きく、潜在的な水力エネルギー容量は全国一だそうです。先日、芳美は農村女性グループで、木島平村の馬曲温泉にある村営の小水力発電所を見学に行ってきました。砂防ダムを利用して直径50センチの管から取水する方式で、勉強机ぐらいの大きさの発電機が小さな小屋のなかに設置してあるだけのものですが、ここで約150軒分ぐらいの電力をまかうことが出来て、村に年間1000万円以上の収入をもたらしているそうです。とても勇気づけられる成功例です。自然に負担をかけない水路式の小水力発電は、震災後様々な地域で計画されていて、どれもなかなかすぐには形にならないのですが、継続して続けることが大切なのだと思います。月末に地域の環境際があって、そこで私たちも様々な自然エネルギーの紹介や展示を行なう予定です。水車発電や、LED照明ペンダント、最近話題になった海に浮かべて波に揺られているだけで発電してくれるジャイロ発電のおもちゃも自作してみました。楽しい場になればいいと思います。


【自然の循環の中で・・・】
 風力も水力も、波の力も、もとは太陽から地球に降り注ぐエネルギーです。昼夜と四季の温度差で大気が暖められ風が吹き、雨が降り大地を流れ、海に注ぐ・・・。その自然の循環の中に様々な生き物が生まれ暮らし、大きな生態圏を形づくってています。夏の光がいっぱいに降り注ぐ中、信州の山間を車で走っていると、「なんとかこの全体量だけで人は暮らしていけないだろうか」と考えてしまいます。

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